日本海沿岸に相次ぎ北朝鮮籍?の老朽木造船漂着
秋田、青森、山形、新潟など日本海沿岸で11月以降、北朝鮮漁船とみられる木造船の漂着が相次いでいる。度重なる国連・安保理決議を受けて、国際社会の経済制裁の輪が広がり強まる中、北朝鮮は「冬季漁業戦闘」と称し、国を挙げて漁業に力を入れている。そのため、冬場の悪天候にもかかわらず、十分な装備もない老朽化した船による、無謀と思える違法漁業を繰り返していることが背景にあるとみられる。
最近の動向をみると11月15日、日本海の大和堆付近の海上で小型漁船が転覆し、海上保安庁が男性3人を救助。23日には木造船が秋田県由利本荘市に木造船が漂着。乗船していた北朝鮮の男性8人が保護された。彼らはエンジントラブルで1カ月間ほど漂流していたと証言している。27日には秋田県男鹿市に漂着した老朽木造船から8人の遺体が見つかり、同船には北朝鮮製とみられるたばこの箱があった。このほか、山形県や新潟県などでも木造船が漂着している。
海上保安庁によると、朝鮮半島からの漂着船とみられる木造船は2013年に80件、2014年から2016年までは毎年45~66件で推移してきた。こうしてみると数字上は幾分落ち着きを示していたが、今年は11月22日時点で、海上保安庁の管轄内で確認されたもので43件となっている。また、11月だけで28件に達した。冬場にきて急増していることが分かる。このほか、悪天候下で遭難、老朽化した木造船が荒波にもまれてほとんど跡形もなく壊れてしまえば、その痕跡は残らない。そうしたケースがどれくらいあるのか把握のしようがない。
外貨不足に悩む北朝鮮は、中国に北朝鮮水域の漁業権を売却しており、北朝鮮の漁業従事者は近海での漁業ができなくなった。そのため、彼らはまさに命懸けで装備のない老朽化した漁船で、遠洋での操業を余儀なくされているというのが実態のようだ。