環境破壊や乱獲による水産資源の減少を背景に、将来の食糧不足に備えようと細胞を培養してつくる魚肉の研究が進んでいる。先行する海外では年内の販売を目指す動きが出ており、日本でも回転ずし「スシロー」の運営会社などが開発にに乗り出す。日本は開発資材の細胞を揃えるうえで多様な魚種が流通する利点があり、早期の実用化への期待が高まっている。
培養魚肉は、生きた魚の細胞に養分を含んだ培養液を与えて大きくする。成形には培養牛肉と同様に3Dプリンターを使うケースが多い。すり身状のものが主流だったが、米企業のワイルドタイプは味や見た目も天然のサケに近い切り身をつくることに成功し、試食会で握りずしを披露した。
国連食糧農業機関(FAO)によると、持続可能な水準にある水産資源の割合は1974年の90%から2017年には65.8%に減少する一方、過剰利用か枯渇状態の資源の割合は10%から34.2%に増えた。発展途上国の消費が増えており、食用の水産物消費は世界の人口増加率の2倍ほどのペースで急増している。これらのことを背景に注目を集めるのが培養魚肉だ。産経新聞が報じた。