新型コロナウイルスの従来株より格段に感染力が強いとされる変異株が、日本国内で徐々に広がり始めている。また、さらに新しい変異株も確認されている。日本政府は海外渡航暦がなく、感染経路不明の「市中感染」が始まっているとみて、水際対策と監視体制を強化し、警戒を強めている。
厚生労働省によると、5月31日時点で確認されたインドの変異株、前週から24人増えて53人。自治体数も前週の7都府県から12都府県に拡大している。都の独自調査によると、6月4日までに確認されたインドの変異株は5月31日時点の14人から、疑い例まで含め計28人に上っている。神奈川県や東京都ではインド変異株のクラスターや市中感染事例も出ている。中には海外渡航暦もない感染例も報告されている。
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病床いぜんひっ迫,沖縄深刻 9都道府県の緊急事態宣言1週間
新型コロナウイルスの感染拡大で東京や大阪など9都道府県に発令中の緊急事態宣言が延長されてから6月7日で1週間が経過した。感染者数は沖縄県を除けば、減少傾向だが、病床はいぜんとしてひっ迫した状況が続いている。
病床使用率東京都と京都府がステージ3(20%以上)。その他7道府県はステージ4(50%以上)となっている。中でも沖縄は別格で深刻な状況にある。直近1週間の人口10万人あたりの感染者数は、前週から22.6人多い125.6人と、ステージ4の基準を大幅に上回る。病床使用率は99.7%に達している。
9大学が連合体「自然エネルギー大学リーグ」脱炭素化後押し
千葉商科大学などキャンパス内で使用する電力を100%再生可能エネルギーでまかなうことを目指す9大学が6月7日、大学の連合体「自然エネルギーー大学リーグ」を設立した。他の大学にも参加を呼びかけ、国内外の脱炭素かを後押しする。
設立趣意書によると、参加する大学は、使用する電力のすべてについて、大学が自ら整備する再生エネルギー設備で発電したり、再生エネルギー由来の電力を調達したりする目標を掲げ、2030年~2040年までの実現を目指して計画を策定する。
日本 1~3月期GDP改定値 年率3.9%減に上方修正
内閣府が6月8日発表した2021年1~3月期の国内総生産(GDP、季節調整値)改定値は、物価変動を除く実質で前期比1.0%減、年率換算で3.9%減となった。5月公表の速報値(前期比1.3%減、年率換算5.1%減)から上方修正した。ただ、年明けからの緊急事態宣言の再発令で個人消費などが冷え込んでおり、3四半期ぶりのマイナス成長に変わりはない。
21年1~5月飲食業倒産270件で15.6%減 協力金で抑制
東京商工リサーチのまとめによると、2021年1~5月の飲食業倒産(負債1,000万円以上)は前年同期比15.6%減の270件だった。年間最多を記録した2020年(842件)と比べ、今回は政府の給付金や協力金など支援効果もあり、厳しい環境にあるにしては飲食業の倒産件数は現時点では抑制されている。
ただ、飲食業倒産のうち、新型コロナウイルス関連倒産が123件(構成比45.5%)とほぼ半数を占め、コロナ禍の影響が事業継続に深刻な影を落としていることは間違いない。
「酒場・ビヤホール(居酒屋)」では倒産が69件発生し、このうち新型コロナ関連倒産は43件と6割以上(構成比62.3%)を占めている。酒類提供が制限され、来店客数や客単価の低下などで売り上げが落ち込み厳しい状況に置かれている。
コロナ禍でインバウンド需要の消失や外出自粛、在宅勤務の広がり、酒類提供の停止など経営環境の激変が1年以上続き体力的限界に近付いている事業者も少なくないと思われる。
飲食業に占めるコロナ関連倒産の構成比は1月43.3%、2月35.1%、3月43.6%、4月53.7%、5月49.0%。
IEA 21年のエネ投資9.6%,再エネ発電投資2.4%増と予測
国際エネルギー機関(IEA)はこのほど、2021年の世界エネルギー投資は、前年比9.6%増の1兆8,505億ドルになる見込みで、新型コロナウイルス感染症のパンデミック発生以前の水準近くまで回復するとの報告書を公表した。
電力分野への投資は同5.8%増の8,228億ドルと予測している。新規発電設備への投資は3.3%増の5,301億ドル、このうち再生可能エネルギー向けの投資は2.4%増の3,674億ドルとなり、新規発電設備投資の69.3%を占めるという。
海外在留邦人初めて減少135万人余に コロナで出国控え・帰国増
外務省は6月7日、海外在留邦人実態調査の結果を公表した。2020年10月1日現在、前年比5万2,632人(3.7%)減の135万7,724人だった。統計が残る1989年以来、初めて減少した。新型コロナウイルスの影響で出国を手控えたり、帰国者が増えたためとみられる。
五輪ボランティア3,800人超が辞退 競技会場ある9道県で
東京五輪を間近に控え、ボランティアの辞退者が増えている。五輪競技が行われる10都道県が募集したボランティアのうち、9道県で少なくとも3,800人超が辞退していることが分かった。千葉県では応募、登録していたボランティア2,826人のうち1,083人、宮城県では1,700人のうち約900人がそれぞれ辞退したもようだ。
辞退理由は、1年延期されたのに伴う各々の個人的事情が大きいが、海外客の受け入れ断念に始まり、コロナ対策より五輪、そして五輪の開催日から逆算したように見える緊急事態宣言の設定など、政府の”五輪強行”姿勢が随所に垣間見えることに失望。ボランティアのあるべき姿とはかけ離れてしまったことで嫌気されたほか、コロナ禍への不安も要因の一つとなっているようだ。
出産・子育て費用高で少子化加速の中国 3人目容認も効果薄
世界最大の14億人の人口を誇る中国で急速な少子化が進んでいる。同国の出生数は2017年から4年連続で減少し、2020年の出生数は1,200万人と前年より2割近く減少し、1949年の建国以来最大の落ち込み幅を記録した。
中国の合計特殊出生率は2015年の人口抽出調査で1.05となり、日本の過去最低水準の2005年の1.26を大幅に下回っている。総人口の規模は大きく異なるが、日本よりもはるかに少子化が進行しているといえる。
同国で少子化が進んでいる背景には①30年以上続いた人為的な「一人っ子政策」②出産・子育て・教育費に費用がかかりすぎる-ことなどが挙げられる。
中国政府は2021年5月31日、出産制限を緩和し、子どもを3人まで容認する方針を示した。だが、1人でも産もうとしない現状では、少子化対策の効果は期待できないとの声が多い。
中華圏では出産後、育児資格などを持つスタッフが24時間常駐し、子どもの面倒をみたり、母子へのマッサージを施したりするホテル型施設や、専用の家政婦を利用する人が多い。北京市中心部では安い施設でも1カ月約6万元と高額だ。
子どもが成長すれば今度は教育費が重くのしかかる。英金融大手HSBCの2017年の調査では、香港などを除く中国本土で子ども1人の大学卒業までに掛かる教育費は平均4万2,892ドル(約470万円)。政府系シンクタンク、上海社会科学院の2019年の調査によると、上海市では中学校卒業までに1人当たり約50万元(約860万円)掛かる。
こうしてみると、政府が結婚適齢期の若者に出産制限撤廃をはじめ、子育て支援・住宅購入支援・教育費軽減など政府が大胆なコスト負担でもしない限り、打開策はないようにみえる。
中国の2020年の人口は14億1,178万人と、前年の14億5万人(推計値)から増加したものの、数年以内に減少に転じるとの観測が広がっている。中国経済は、人口増も背景に急速な経済成長を続けてきた。だが、少子化に歯止めが掛からず、高齢化が進行し働き手が減少する中、国として医療・介護の社会福祉費だけが膨らんでいけば、現在の日本とほとんど変わらない。いや、人口の規模が大きく異なるだけに、経済成長が大きく鈍化してきたとき、とても日本の比ではない、事態は深刻化することが予想される。
インド20年度GDP成長率マイナス7.3% 消費・投資とも影響大
インド統計・計画実施省はこのほど、2020年度第4四半期(2021年1~3月)の実質GDP成長率(2011年基準)推計値を前年同期比1.6%、2020年度(2020年4月~2021年3月)の実質GDP成長率(2011年基準)推計値をマイナス7.3%と発表した。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響という特殊要因があったとはいえ、現行基準で統計を取り始めた2011年以降、年度では初のマイナス成長となった。
2020年度成長率を需要項目別にみると、個人消費を示す民間消費支出がマイナス9.1%、企業の設備投資など投資活動を示す総固定資本形成がマイナス10.8%とコロナ禍の影響を強く受けた数値となっている。