「新技術・新開発」カテゴリーアーカイブ

徳島文理大「ユーグレナ」の高速培養技術を開発

徳島文理大理工学部(所在地:香川県さぬき市)の研究グループは、微細藻類「ユーグレナ」に特殊な発光ダイオード(LED)光を照射することで持続的に高速培養できる技術を開発した。培養容器に通常の白色光に加え赤色から赤外光の特殊なLED光を当てると、ユーグレナが高速増殖モードに移行して細胞が高速で増えることが分かった。照射を止めても増殖モードは持続し、ユーグレナの細胞は従来の約2倍に増えたという。
ユーグレナ健康食品や化粧品の原料として知られているが、供給能力が現状ではネックとなっている。今回の新技術が実用化されれば、バイオジェット燃料の原料としても期待が高まる。同大は脱炭素につながる技術として今後、企業と組んで試験研究に取り組む考えだ。

クラボウと東大 3Dプリンティング技術で共同研究

クラボウ(本社:大阪市中央区)と東京大学(所在地:東京都文京区)は7月13日、建設業界で問題となっている人手不足や生産性向上という課題解決を視野に、3Dプリンティング技術で共同研究を推進する。両者が4月に交わした共同研究契約に基づき進めている建設用3Dプリンティング技術で、産学連携によるメタマテリアル技術をセメント系材料で確立することを目指すと発表した。
7月から実際に建設用3Dプリンターを用いた造形物を製作するなど取り組みを本格化。造形物の内部構造をデザインして、強度や靭性を高めるなど新たな物性を獲得する研究に注力している。

三井化学とJiksak iPS細胞の高効率培養技術を共同開発へ

三井化学(本社:東京都港区)とJiksak Bioengineering(本社:川崎市幸区)、以下、Jiksak)は7月8日、ヒトiPS細胞由来神経組織の実用化に向けて共同研究を開始したと発表した。三井化学の高酸素透過培養容器の技術と、Jiksakが持つ創製に係る技術を融合させ、創薬分野や再生医療分野などで、今後必要とされる神経組織を、より簡便かつ高効率に培養するための実用化技術の開発を目指す。

京大と鹿島 月・火星移住へ「重力」人工発生施設研究

京都大学有人宇宙学研究センターと、大手ゼネコンの鹿島建設(本社:東京都港区)は7月5日、月や火星への移住を想定し、「重力」人工発生施設について共同研究を進めると発表した。
将来、人類が月や火星で暮らす場合、地球と同じ程度の重力が欠かせない。このため、月や火星の地表面に直径200m、高さ200mから400mのグラスのような形をした施設を建設し、これを回転させた遠心力で重力を人工的に発生させるとしている。
施設の中には居住エリアに加えて、海や森林などの地球環境を実現した小さな生態系を設けて、人類が生存できる基盤をつくることを目指し、必要な資材は地球から搬送するほか、重量があるものは現地で調達して建設を進める構想。
月と火星の間を移住する場合は、新幹線の車両ほどの大きさのカプセルを六角形に連結して回転させ、地球と同じ重力を生み出しながら移動できるようにするとしている。

ユーグレナ,理研 マレーシア泥炭地から耐酸性の新規藻類

ユーグレナ(本社:東京都港区)、理化学研究所微細藻類生産制御技術研究チームは6月27日、マレーシア工科大学、マレーシア日本国際工科院の研究チームとの共同研究により、マレーシアの泥炭地で採取した微細藻類の中から、脂質を生産する耐酸性の新規藻類、テトラスティココッカスの同定・単離に成功したと発表した。
テトラスティココッカスは酸性および弱アルカリ性のpH条件下で高い増殖率を示し、炭素数が16から18の長鎖脂肪酸を多く蓄積することを確認した。
この研究成果は学術雑誌『Journal of Applied Phycology』(2022年5月22日付)に掲載された。

脱炭素へ高炉使わない製鉄法開発へ 水素でCO2削減

日本製鐵、JFEスチール、神戸製鋼所、一般財団法人金属系材料研究開発センターでつくるコンソーシアムは、高炉を使わず、水素を活用して二酸化炭素(CO2)の排出量を削減する製鉄法開発に共同で取り組む。これは国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「グリーンイノベーション基金事業/製鉄プロセスにおける水素活用プロジェクト」に共同応募し、採択されたもの。

旭化成 EV電池原料にCO2 製造の排出量上回る削減効果

旭化成はリチウムイオン電池の材料を、二酸化炭素(CO2)を原料につくりだす技術を開発した。2023年度に実用化する。製造時のCO2排出量を上回る削減効果を実現できる。
欧州連合(EU)が2027年から排出量が多い電気自動車(EV)用電池の輸入を禁じるなど脱炭素の要請が強まっており、これに応える開発だ。日本経済新聞が報じた。

大阪ガス シェルとメタネーション,水素などで検討

大阪ガス(本社:大阪市中央区)は6月6日、シェル・イースタン・ペトロリアム社(本社:シンガポール)と脱炭素社会実現に向けたメタネーション、水素、バイオメタン、二酸化炭素(CO2)回収・利用・貯留(CCUS)などの幅広い分野で、実現可能性調査を開始することで基本合意書を締結したと発表した。
また、メタネーション分野では東京ガスを含む3社で共同検討を進めることで合意した。

トヨタ ポータブル水素カートリッジを開発 実証へ

トヨタ自動車と子会社のウーブン・プラネット・ホールディングスは6月2日、手軽に水素を持ち運びでき、生活圏の幅広い用途で水素エネルギーを使用できるポータブル水素カートリッジのプロトタイプを開発したと発表した。プロトタイプのサイズは直径約180mm、全長約400mm、質量は約5kg。
静岡県裾野市で建設を進めるウーブンシティをはじめとした様々な場所での実証を通じて実用化に向けた検討を進める。2022年6月3〜5日、富士スピードウェイで開催されるスーパー耐久シリーズ2022第2戦で、水素カートリッジのプロトタイプの展示を行う。

川崎重工 舶用水素ボイラの基本設計を完了 世界初

川崎重工は5月31日、クリーンなエネルギー、水素を燃料とする舶用水素ボイラの基本設計を世界で初めて完了したと発表した。同ボイラは、これまでのLNG(液化天然ガス)運搬船の建造で培った舶用ボイラの技術やノウハウと、同社が保有する水素燃焼技術のシナジーを活用して開発した。
すでに実用化されている小型の陸用水素ボイラとは異なり、波の揺動や設置スペースの制限が伴う船舶特有の条件や運用面などを考慮した設計となっている。なお、同ボイラを搭載した液化水素運搬船の推進システムについて、一般財団法人日本海事協会から基本設計承認を取得済み。