「新技術・新開発」カテゴリーアーカイブ

川崎重工 大型ガスエンジンで水素30%混焼技術を開発

川崎重工は3月16日、発電出力5MW以上の大型ガスエンジンにおいて、水素を体積比30%までの割合で天然ガスと混焼して、安定した運用を実現できる燃焼技術を国内ガスエンジンメーカーとして初めて開発したと発表した。
今回開発した混焼技術によって、発電出力や水素混合比率に応じて燃焼状態を適正に制御できるシステムを構築し、このシステムを搭載した単気筒機による実証運転により、水素混焼時でも安定した運用が可能であることを確認した。

植物由来原料でエチレン,プロピレンの事業化検討

三菱ケミカル(本社:東京都千代田区)および豊田通商(本社:名古屋市)は3月14日、バイオエタノールを原料とするエチレン、プロピレンおよびその誘導品の製造・販売を2025年度に開始することを目指し、事業化に向けた検討を開始したと発表した。
バイオエタノールを原料に100%植物由来のエチレン(以下、バイオエチレン)とその誘導品を製造し、そのバイオエチレンを原料として、国内初となる植物由来のプロピレン(以下、バイオプロピレン)および誘導品の製造・販売に向けた検討となる。

メタノールを燃料とする内航タンカー開発で提携

商船三井など6社が3月11日、国内初のメタノールを燃料とする内航タンカー開発に関する戦略的提携で合意したと発表した。提携に合意したのは商船三井、商船三井内航、田渕海運、新居浜海運、村上秀造船、阪神内燃機工業。
このプロジェクトは経済産業省、国土交通省の「AI・IoT等を活用した更なる輸送効率化推進事業費補助金(内航船の革新的運航効率化実証事業)」に採択され、2024年の竣工を目指している。
メタノールは重油と比較し、燃焼時の硫黄酸化物(SOx)排出量を最大99%、粒子状物質(PM)排出量を最大95%、窒素酸化物(NOx)排出量を最大80%、二酸化炭素(CO2)排出量を最大15%それぞれ削減できる。

富士通,東京医科歯科大 富岳とAIでがんの薬剤耐性を発見

スーパーコンピュータ「富岳」と「発見するAI」で、がんの薬剤耐性に関わる未知の因果メカニズムを高速に発見する新技術が開発された。富士通と東京医科歯科大学は3月7日、従来は実行困難だった2万変数のデータを1日以内で超高速計算することが可能で、1,000兆通りの可能性から未知の因果を発見できる技術を開発した。
両者は、がん医療と創薬の現場課題の抗がん剤の薬剤耐性を分析するために、がんの細胞株から得られた遺伝子発現量データにこの技術を適用した結果、これまでの研究成果では得られていない、肺がん治療薬の耐性の原因を示唆する遺伝子の新たな因果メカニズムを抽出することに成功した。これにより、患者一人ひとりに対応した効果的な抗がん剤創薬の実現に向けて、この技術の活用が期待される。

ISTとJAXA 小型ロケット用エンジンシステム技術で共創

インターステラテクノロジーズ(以下、IST)と宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)は3月2日、新たな発想の宇宙関連事業の創出を目指す「JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(以下、J-SPARC)」の枠組みのもと、小型ロケット用エンジンシステム技術の研究開発に関する共創活動を開始したと発表した。
両者のこれまで共創活動を通じ、主要コンポーネント技術の実用化へのめどが得られたことから、次の共創活動(フェーズ2)として、個々の技術をシステムとしてインテグレートした小型ロケット用エンジンシステムの研究開発に取り組むことになった。両者がそれぞれエンジンシステムを構成するコンポーネントの設計・製作をを行い、JAXAが角田宇宙センターでエンジンシステムとしての組立および試験を実施、得られた試験結果を両者で共有する。
ISTは低コストな小型ロケット用エンジンシステム技術をZEROの開発に活用し、早期の実機打ち上げを目指す。

「培養魚肉」国内外で開発競争過熱 早期実用化に期待

環境破壊や乱獲による水産資源の減少を背景に、将来の食糧不足に備えようと細胞を培養してつくる魚肉の研究が進んでいる。先行する海外では年内の販売を目指す動きが出ており、日本でも回転ずし「スシロー」の運営会社などが開発にに乗り出す。日本は開発資材の細胞を揃えるうえで多様な魚種が流通する利点があり、早期の実用化への期待が高まっている。
培養魚肉は、生きた魚の細胞に養分を含んだ培養液を与えて大きくする。成形には培養牛肉と同様に3Dプリンターを使うケースが多い。すり身状のものが主流だったが、米企業のワイルドタイプは味や見た目も天然のサケに近い切り身をつくることに成功し、試食会で握りずしを披露した。
国連食糧農業機関(FAO)によると、持続可能な水準にある水産資源の割合は1974年の90%から2017年には65.8%に減少する一方、過剰利用か枯渇状態の資源の割合は10%から34.2%に増えた。発展途上国の消費が増えており、食用の水産物消費は世界の人口増加率の2倍ほどのペースで急増している。これらのことを背景に注目を集めるのが培養魚肉だ。産経新聞が報じた。

NEDO「人工光合成」研究に300億円支援 脱炭素へ開発加速

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2月18日、太陽光を使い水と二酸化炭素(CO2)からプラスチック原料などをつくる「人工光合成」の研究開発に300億円を支援すると発表した。三菱ケミカルやトヨタ自動車、東京大学などが研究に参画する。石油を使わない製造技術の開発支援を通じ、脱炭素への取り組みを加速する。NEDOの支援は総額2兆円を投じるグリーンイノベーション基金事業の一環。
同プロジェクトでは、人工光合成の大規模実証実験を2030年に実施する予定。まず水素製造コストで石油由来の方法と同程度に下げる。同技術は石油に頼らず化学原料をつくることができ、脱炭素の切り札といわれる。産官学で研究開発を加速する。

岡山大 光で狙った細胞を死滅させる技術開発 新たながん治療法

岡山大学の研究グループは2月17日、細胞をアルカリ化する光感受性タンパク質を用いることで、光で狙った細胞を選択的に死滅させる新技術の開発に成功したと発表した。これにより、周りの正常な細胞には毒性を与えず、がん細胞を選択的に死滅させる「副作用のない光がん治療法」の開発につながると期待される。

大日本印刷と東京食品機械 プラ使用量を90%削減の紙トレー

大日本印刷(本社:東京都新宿区)と東京食品機械は2月7日、プラスチック使用量を抑えた環境配慮型の密封性を有する紙トレーの共同開発を開始したと発表した。パッケージと包装システムにおける両社の開発力を掛け合わせ、酸素バリア性と密封性を併せ持つ「密封紙トレー」を開発し、惣菜や冷凍食品などの業界に向けて提供していく予定。

日本板硝子 高弾性・高強度ガラスファイバー「MAGNAVI」開発

日本板硝子(本社:東京都港区)は2月2日、耐熱性、電波透過性等のガラスファイバーの特性はそのままに、剛性と強度をさらに高めた新たなFRP・FRTP(繊維強化プラスチック)用補強材として、高弾性・高強度ガラスファイバー「MAGNAVI(R)」を開発したと発表した。
産業製品部材の軽量化、薄型化ニーズの高まりに応え、MAGNAVIは従来のガラスファイバーやカーボンファイバーでは対応の難しいい分野にワンランク上のソリューション提供を目指す。すでにワンプルワークを開始し、2022年下期より津事業所(三重県)での生産体制を整備し、順次販売を拡大していく予定。