苦境にある技能実習生ら日本で働く外国人を支援する団体のメンバーなどおよそ30人がこのほど、東京の参議院議員会館で、厚生労働省や法務省の担当者に実態調査と対策を求めた。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、受け入れ先で解雇され再就職もできず、行き場や住む場所も失うケースが相次いでいる技能実習生ら外国人労働者。厚生労働省によると、コロナ禍で解雇や雇い止めに遭った外国人技能実習生は9月25日現在でおよそ3,700人に上っている。そして、感染拡大が深刻さを増している中、雇用情勢は一段と厳しくなっている。
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コロナ禍で失職、生活苦に追い詰められる技能実習生
群馬、埼玉両県警が摘発した家畜や果物の盗難事件をきっかけに、新型コロナの影響による失職、住む場所をなくし、生活苦にあえぐベトナム人技能実習生の実態があぶり出されることになった。こうした人たちの中には、ぎりぎり追い詰められ犯罪に走った人もいるものとみられ、帰国できない人も少なくないという。
2015年末に約6万人だったベトナム人技能実習生は、2016年末に中国を抜きトップに。その結果、技能実習生約41万人の半数にあたる約22万人を占める。また、ベトナム人留学生は約8万人で、約14万人の中国人に次いで多い。
一方、法務省によると、失踪した技能実習生は2018年までの5年間で計約3万2,000人に上る。このうち、ベトナム人が約1万4,000人で全体の45%を占め、最多だ。安定的な労働力として、ベトナム人労働者を確保、活用していく考えなら、今こそ実態を見据えた、国としての中長期的な、かつ早急な施策が求められる。
コロナ解雇・雇い止め7万人超え 1カ月半で1万人増 厚労省
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中国 介護ヘルパー200万人以上育成など職業技能強化を発表
日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、中国政府はこのほど「健康養老職業技能教育計画に関する通知を発表した。ヘルスケア、介護、家事代行サービス、乳幼児ケアに従事する人材向けの教育を強化するとともに、人手不足の解消や技能レベルの向上を目指す。
これによると2020年からの3年間で、介護ヘルパー200万人以上の育成はじめ、合わせて500万人以上の育成、教育を目標に掲げ、とりわけ実務能力の訓練に重点を置くとしている。介護分野では要介護・認知症高齢者向けのケア、リハビリサービスなどに関する教育を強化する。
中国人力資源・社会保障部によると、中国で介護を必要とする高齢者数は約4,000万人以上とされている。これに対し、現在ヘルパーの数は30万人にとどまっており、介護分野の人手不足は深刻の度を増している。このため中国政府は高齢者事業を管轄する民生部だけでなく、教育部、国務院弁公庁などの部門でも介護分野に関連する介護人材の育成策を取り上げ、今後取り組みが一段と強化される見込み。
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エーザイ 中国・京東健康と高齢者向け健康サービス事業で合弁
エーザイ(本社:東京都文京区)は10月27日、子会社の衛材(中国)薬業有限公司(所在地:中国江蘇省蘇州市、以下、エーザイ中国)と中国の京東健康(本社:中国・北京市、以下、JD Health)が、中国国内における高齢者向けの健康サービスプラットフォーム構築を目指す合弁会社「京●衛享(上海)健康産業有限公司」を設立したと発表した。合弁会社への出資比率はJD Healthが51%、エーザイ中国が49%。高齢者向けのワンストップ健康サービスプラットフォーム構築を目指す。
JD Healthは強固なeコマースビジネス基盤、インターネット医療サービスのノウハウおよび広大な中国の99%をカバーする物流インフラを持つ。中国では高齢化が進行、2019年末時点での60歳以上の高齢者人口は総人口の18.1%にあたる2億5,388万人に上る。これに伴い、高齢者向けの高質な医療・介護に対するニーズが高まっており、その提供が課題となっている。
外国人の技能実習制度の矛盾浮き彫り コロナ解雇で”転職”解禁
新型コロナウイルス感染拡大の影響で外国人技能実習制度の矛盾が改めて浮き彫りになっている。技能実習制度は本来、日本の技術を習得してもらい帰国後、相手国の発展につなげてもらうのが目的で、企業などに受け入れられているもの。したがって、実習生は別の業種への転職はできず、実習先を変わることも自由にできないはずだった。
ところが、この実習生が”解雇”されるケースが相次ぎ、国は救済措置として人手不足の別の産業に振り向ける形での”転職”を解禁した。これにより、実習生が労働力として扱われる実態がコロナ禍でさらに鮮明化。技能実習制度本来の趣旨とかけ離れてしまっている。それだけに専門家らは「技能実習制度は直ちに廃止すべきだ」と指摘している。
ソフトバンクG 東京都の800以上の福祉施設に唾液PCR検査を提供
ソフトバンクグループの子会社、新型コロナウイルス検査センターとソフトバンクは10月22日、東京都と福祉施設における検査の実施に係る協定を締結し、都内800以上の特別養護老人ホームや障がい者支援施設などの利用者および職員を対象とした唾液PCR検査を2020年11月から2021年3月末まで提供すると発表した。
無症状の施設の利用者や職員に対する唾液PCR検査の実施を推進し、施設内における感染の疑いがある方を早期に発見できる体制を構築する。これにより施設内での感染拡大を防止するとともに、職員が安心して業務に従事できる環境を整備する。
新型コロナウイルス検査センターは、これまで1回の検査当たり2,000円(税抜き、配送料・梱包費などを除く)の実費負担だけで、希望する法人や自治体に唾液PCR検査を提供している。
19年の外国人の上陸拒否数16%増の1万647人 出入国在留管理庁
日本の出入国在留管理庁のまとめによると、2019年の外国人の上陸拒否数は1万647人で、前年比1,468人(16.0%)増加した。7年連続で増加した。
上陸拒否の理由は、不法就労が目的であるにもかかわらず、観光、短期商用、あるいは親族・知人訪問と偽って上陸申請している疑いがあるなど、入国目的に疑義が認められた者は8,890人で全体の83.5%を占めた。上陸拒否者の国籍・地域をみると、中国、タイ、トルコの上位3カ国・地域で合計6,088人で、全体の57.2%を占めた。中国が前年の2,092人から3,765人(前年比80.0%増)へ大幅に増加した。
上陸拒否数を空港別にみると、第1位は成田空港で5,487人と全体の51.5%を占めた。第2位は関西空港で2,022人(全体の19.0%)、第3位は羽田空港で1,344人(同12.6%)、以下、中部空港が964人(同9.1%)、福岡空港が262人(同2.5%)の順となっており、これら上位5空港で全体の94.7%を占めた。