大阪大学蛋白質研究所、東北大学大学院医学系研究科の研究グループは3月9日、共同でがん細胞だけに結合して正常細胞には全く反応しない抗体の取得に成功し、さらに細胞選択性の理由を結晶構造解析により明らかにしたと発表した。この結果、今後がん細胞のみを攻撃する抗体医薬品の開発への応用が期待される。
グループは数百種にも及ぶ数のHER2に対する抗体を作り出し、各抗体について様々な細胞への反応性を調べた。HER2はヒト上皮細胞増殖因子受容体。がんの治療における標的タンパク質として古くから注目されており、過剰に発現したり活性化したりすることで、細胞の増殖制御ができなくなり、がん化する。