製薬大手の住友ファーマ(本社;大阪市)は11月29日、ヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)から光を感じる網膜のシートをつくり、目の難病「網膜色素変性症」に患者に移植する臨床試験を米国で開始すると発表した。
米マサチューセッツ州の病院と協力し、網膜シート(直径約1ミリ)を患者12人に移植。国内の研究よりも細胞数を増やし、安全性や視機能の改善などの有効性を確認する。視細胞を含むシートを国内で作製して米国に空輸し、2025年度に1例目の移植を目指す。
網膜色素変性症は、暗いところでものが見えにくくなったり、視野が狭くなったりする難病。光に反応して神経に情報を伝える「視細胞」が減少して発症する。国内に約3万人、米国では約8万人の患者がいると推定されている。
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阪大チーム 声失った患者そっくりの人工音声 AIアプリ開発
大阪大などの研究チームはこのほど、病気で声を失った患者の口元の動きから話そうとしている内容を人工知能(AI)で推定し、本人そっくりの人工音声を流す「読唇アプリ」を開発した。これを使えば患者の意思疎通が楽になるとし、チームは実用化を目指す。大阪大病院で患者に試験的に使ってもらうことを計画している。
チームは日本語の5種類の母音に加え、前後の音の並びによって変化する口元の動きを16種類に分類した「口形コード」という手法に着目。まず話している口元の膨大な映像と、その動きに対応するコードをAIに学習させ、口元の動きをコードに変換する手法を開発した。さらに別のAIを使い、コードを自然な日本語に置き換える2段階のシステムで、話そうとしている言葉を推定できるようにした。これらと、事前に録音した患者本人の声をもとに、人工音声でそっくりに再現するシステムも組み合わせ、アプリを完成させた。
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マイナ保険証で25年度から電子カルテ 病院間で共有へ
政府は、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」を利用する患者の電子カルテ情報について、医療機関同士で共有する新システム「電子カルテ情報共有サービス」の運用を、2025年度に始める方針を固めた。この新システムは厚生労働省所管の法人が管理する。
これにより、各医療機関から電子カルテに記録された病名やアレルギー、感染症と生活習慣病の検査や健診結果、処方箋の情報が集まり、データベースに蓄積される。データの保存期間は3カ月〜5年間となる。全国の医療機関がデータを閲覧するためには、患者の同意を得る必要がある。
新システムが導入されると、救急患者の症状と、データを突き合わせて診断したり、初診患者の検査結果を、過去の数値と比べて病状の変化をみたりすることが可能になる。また、アレルギー情報は安全な薬剤の処方に役立つ。
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繊維大手ユニチカ 赤字続きの祖業の繊維事業から撤退へ
大手繊維メーカー、ユニチカ(本社:大阪市中央区)は赤字が続いていた祖業の繊維事業から撤退する方針を固めた。需要が伸びている食品包装や半導体関連の材料に使われるフィルム事業に経営資源を集中する。これに伴って、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行などの主力銀行も300億〜400億円規模の債権放棄を行う方向で調整する。
同社のルーツは尼崎紡績で、1889年に創業した後、天然繊維の紡績工場から脱却、黎明・成長期の化合線繊維の製造を手掛ける中、主力メーカーの一角として、ナイロン、ポリエステル、レーヨンなど化合繊繊維事業を拡大し、日本の繊維産業の近代化や戦後の高度経済成長を支えた。
ただ、近年は様々な構造改革にも関わらず、日本の繊維産業を取り巻く大きな環境変化も加わり、海外の低価格品との競争激化で衣料品や生活雑貨向けの戦時事業の業績は大きく落ち込んでいた。