「アジア-社会」カテゴリーアーカイブ

国交省 25年万博期間中のライドシェア緩和を正式決定

国土交通省は12月19日、2025年大阪・関西万博の期間中に大阪府内で「日本版ライドシェア」の規制を大幅に緩和することを正式に決定した。大阪府、大阪市との間で合意した。この要点は①大阪市周辺に限られていた運航エリアを大阪府全域に広げ、万博会期中の移動需要に対応する②万博会期中の2025年4〜10月に曜日を問わず、24時間運行できるようにする。
これらの要点実施に向け、12月20日から大阪府内全域で24時間ライドシェアを運行する試験運用を始める。台数は大阪市周辺は210台まで、そのほかの地域では、各地にあるタクシー車両数の5%までとする。試験運用の「状況を踏まえ、国交省と大阪府、大阪市、大阪タクシー協会で万博期間中に必要なライドシェアの台数を検討する。

生命倫理専門調査会 iPS由来受精研究を容認へ 条件付きで

政府の生命倫理専門調査会は12月16日、人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)やES細胞(胚性幹細胞)などからつくった精子と卵子を受精させる研究を条件付きで認める方針を決めた。この研究は現在、国の指針で禁止されているが、調査会は培養期間を14日までとするなど等など条件を定め、指針改定に向けた報告書をまとめる。
近年、マウスのiPS細胞由来の精子と卵子から別のマウスが誕生するなど研究が急速に進展。人でも応用される可能性が高まったとして、調査会が議論を本格化させているもの。

神戸アイセンターのiPS網膜移植の臨床計画を了承 厚労省

厚生労働省の専門部会は12月16日、iPS細胞(人工多能性幹細胞)からつくった網膜の細胞を目の病気の患者に移植する神戸市立神戸アイセンター病院の臨床研究計画について、計画内容をおおむね了承した。同病院は早ければ2025年1月にも、入院費など一部に公的医療保険が適用される「先進医療」として厚労省に申請する。

京大, 住友林開発 世界初の木造小型人工衛星 宇宙へ放出

国際宇宙ステーション(ISS)の日本の実験棟「きぼう」から12月9日夜、世界初の木造小型人工衛星が宇宙へ放出された。京都大学と住友林業が開発この人工衛星には国産木材が使われ、宇宙空間で将来、木材が利用できるかを調べる予定だったが、京大関係者によると、地上との通信ができておらず、地球を周回する衛星からの電波の受信を引き続き試みているという。
衛星は10センチ角(重さ約1kg)で、ネジや接着剤を使わずに木材を組み上げる日本の伝統技法が使われている。ラテン語の「リグノ」(木材)と、人工衛星を意味する「サテライト」を組み合わせて「リグノサット」と命名されている。

東北大に新型核燃料棒研究拠点 原発の安全性向上へ

政府が2025年3月にも、東北大学(本部所在地:宮城県仙台市)に新設の核燃料棒の研究拠点を新設することが分かった。新型の核燃料棒は現行の核燃料棒に比べて耐熱性に優れており、水素爆発や炉心溶融(メルトダウン)など重大事故の発生・拡大を抑え、原子力発電所の安全性向上に役立つ。政府はエネルギー安全保障の観点から、核燃料棒の国産化を重視している。新型核燃料棒の開発は米国はじめ、中国、ロシア、韓国などがしのぎを削っている。

マイナ保険証 救急患者の医療情報 同意なしに閲覧可 開始

厚生労働省は12月9日、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」を利用し、意識不明に陥った救急患者らの医療情報を、本人の同意なしに病院が閲覧できるシステムの運用を始めた。処方薬や手術歴などを救急医らが把握し、的確で迅速な治療につなげることで、救命率の向上や後遺症の軽減を目指す。
新システムでは、意識不明や会話が困難などで意思確認ができない場合、医師が救命や回復のために必要と判断すれば、本人の同意なしに閲覧できる。救急用にまとめた情報も確認できる。厚労省は2025年度、マイナ保険証を利用する患者の電子カルテ情報を、医療機関同士で共有する仕組みを導入する方針だ。ただ、現状では医療機関や薬局でのマイナ保険証の利用率は2024年10月時点で15.67%にとどまっている。

広島大病院など 歯周炎で骨喪失 再生へ移植用材料開発

広島だ病院と九州大発の医療ベンチャー、サイフューズ社(所在地:東京都)は12月5日、歯周炎で失った骨などの組織を再生させる移植用材料を開発したと発表した。同社はバイオ3Dプリンターを使って細胞塊を積み重ね、約5ミリ角の移植用材料を作製することに成功。歯周組織を欠損させたラットに移植し、約1カ月で骨や靭帯などが形成されたことを確認したという。今後、人での臨床研究を計画している。

神戸アイセンター 初のiPS網膜移植「先進医療」申請へ

神戸市立神戸アイセンター病院は、iPS細胞(人工多能性幹細胞)からつくった網膜の細胞を移植する治療を、厚生労働省に早ければ2025年1月にも入院や検査の費用に公的保険を利用できる「先進医療」として申請することが分かった。認められればiPS細胞を使った細胞移植治療では初となる。
神戸アイセンター病院のチームは、「網膜色素上皮不全症」の患者の目に、iPS細胞からつくった網膜色素上皮細胞を、髪の毛ほどの太さのヒモ状に加工して移植する治療法の開発を進めている。

阪大チーム 声失った患者そっくりの人工音声 AIアプリ開発

大阪大などの研究チームはこのほど、病気で声を失った患者の口元の動きから話そうとしている内容を人工知能(AI)で推定し、本人そっくりの人工音声を流す「読唇アプリ」を開発した。これを使えば患者の意思疎通が楽になるとし、チームは実用化を目指す。大阪大病院で患者に試験的に使ってもらうことを計画している。
チームは日本語の5種類の母音に加え、前後の音の並びによって変化する口元の動きを16種類に分類した「口形コード」という手法に着目。まず話している口元の膨大な映像と、その動きに対応するコードをAIに学習させ、口元の動きをコードに変換する手法を開発した。さらに別のAIを使い、コードを自然な日本語に置き換える2段階のシステムで、話そうとしている言葉を推定できるようにした。これらと、事前に録音した患者本人の声をもとに、人工音声でそっくりに再現するシステムも組み合わせ、アプリを完成させた。

マイナ保険証で25年度から電子カルテ 病院間で共有へ

政府は、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」を利用する患者の電子カルテ情報について、医療機関同士で共有する新システム「電子カルテ情報共有サービス」の運用を、2025年度に始める方針を固めた。この新システムは厚生労働省所管の法人が管理する。
これにより、各医療機関から電子カルテに記録された病名やアレルギー、感染症と生活習慣病の検査や健診結果、処方箋の情報が集まり、データベースに蓄積される。データの保存期間は3カ月〜5年間となる。全国の医療機関がデータを閲覧するためには、患者の同意を得る必要がある。
新システムが導入されると、救急患者の症状と、データを突き合わせて診断したり、初診患者の検査結果を、過去の数値と比べて病状の変化をみたりすることが可能になる。また、アレルギー情報は安全な薬剤の処方に役立つ。