広島だ病院と九州大発の医療ベンチャー、サイフューズ社(所在地:東京都)は12月5日、歯周炎で失った骨などの組織を再生させる移植用材料を開発したと発表した。同社はバイオ3Dプリンターを使って細胞塊を積み重ね、約5ミリ角の移植用材料を作製することに成功。歯周組織を欠損させたラットに移植し、約1カ月で骨や靭帯などが形成されたことを確認したという。今後、人での臨床研究を計画している。
「新技術・新開発」カテゴリーアーカイブ
KDDI 30年に全自動配送実現 ドローン・ロボ・車を一体制御
旭化成 EC, DMC技術ライセンスした中国プラントが運転開始
旭化成(本社:東京都千代田区)は12月5日、高純度エチレンカーボネート(EC)および高純度ジメチルカーボネート(DMC)を技術ライセンスした中国Jiangsu Sailboat Petrochemical Co.,Ltd.(本社:江蘇省連雲港市、以下、Sailboat)の新プラントが11月に商業運転を開始したと発表した。
これらの高純度カーボネートは、電気自動車(EV)用リチウムイオン電池(LiB)の電解液溶剤に用いられており、二酸化炭素(CO2)を主原料とする大型高純度カーボネート類生産技術の確立とその工場の稼働は、CO2を化学製品の原料として消費する機会を大きく広げることにつがる。このライセンス技術は原料の約50%がCO2であり、年間数万トンのCO2を消費・吸収する技術として世界中から注目されている。
神戸アイセンター 初のiPS網膜移植「先進医療」申請へ
住友ファーマ iPS網膜シート 25年度米で移植 臨床試験
製薬大手の住友ファーマ(本社;大阪市)は11月29日、ヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)から光を感じる網膜のシートをつくり、目の難病「網膜色素変性症」に患者に移植する臨床試験を米国で開始すると発表した。
米マサチューセッツ州の病院と協力し、網膜シート(直径約1ミリ)を患者12人に移植。国内の研究よりも細胞数を増やし、安全性や視機能の改善などの有効性を確認する。視細胞を含むシートを国内で作製して米国に空輸し、2025年度に1例目の移植を目指す。
網膜色素変性症は、暗いところでものが見えにくくなったり、視野が狭くなったりする難病。光に反応して神経に情報を伝える「視細胞」が減少して発症する。国内に約3万人、米国では約8万人の患者がいると推定されている。
阪大チーム 声失った患者そっくりの人工音声 AIアプリ開発
大阪大などの研究チームはこのほど、病気で声を失った患者の口元の動きから話そうとしている内容を人工知能(AI)で推定し、本人そっくりの人工音声を流す「読唇アプリ」を開発した。これを使えば患者の意思疎通が楽になるとし、チームは実用化を目指す。大阪大病院で患者に試験的に使ってもらうことを計画している。
チームは日本語の5種類の母音に加え、前後の音の並びによって変化する口元の動きを16種類に分類した「口形コード」という手法に着目。まず話している口元の膨大な映像と、その動きに対応するコードをAIに学習させ、口元の動きをコードに変換する手法を開発した。さらに別のAIを使い、コードを自然な日本語に置き換える2段階のシステムで、話そうとしている言葉を推定できるようにした。これらと、事前に録音した患者本人の声をもとに、人工音声でそっくりに再現するシステムも組み合わせ、アプリを完成させた。
JR東海 カーボンニュートラル実現へ水素動力車両開発推進
JR東海は11月26日、政府の2050年カーボンニュートラル政策に呼応、同社が推進している取り組みの一環として、軽油を燃料とする従来の気動車に代わる、水素を燃料とした「水素動力車両」の開発状況を明らかにした。この水素動力車両はHC85系ハイブリッドシステムをベースとし、動力源として燃料電池と水素エンジンを検討している。
今回、水素エンジンハイブリッドシステムの試作機が完成した。これは産業用のディーゼルエンジンをベースにiLabo(本社:東京都中央区)が開発した水素エンジンとJR東海のHC85系で使用している発電機、車両制御装置、蓄電池を組み合わせたシステム。水素エンジンは高い耐久性と出力密度、および高負荷域での高い効率が期待でき、また燃料電池と比較して低い水素純度でも運転できる特長がある。
阪大チーム がん免疫療法の副作用のたんぱく質を特定
大阪大のチームはこのほど、「がん免疫療法」の副作用と関わるたんぱく質を、マウスを使った実験で突き止めたと発表した。論文が科学誌サイエンスに掲載された。同チームは、このたんぱく質の働きを抑えれば、がんを攻撃する免疫細胞によって起きる副作用を軽減できる可能性があるとしている。
免疫細胞には、ウイルスやがんを攻撃して体を病気から守る「キラーT細胞」などと、逆にキラーT細胞などの働きにブレーキをかけて過剰な免疫反応を抑え、結果的にがんを保護することもある「制御性T細胞(Tレグ)」が存在する。免疫療法では、これらの免疫細胞に働きかけ、効果的にがんを攻撃させる複数の薬が開発されているが、全身で炎症が起きるなどの副作用が出やすいことが課題となっている。
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ブタの腎臓 サルに移植成功 国内初の臨床応用めざす
腎臓病の根本的治療法確立に向け、この一環として、明治大学発のスタートアップ、ポル・メド・テック(所在地:川崎市)は11月25日、他の動物に移植しても拒絶反応が起きないように遺伝子を改変したブタの腎臓を、カニクイザルに移植し、成功したと発表した。
鹿児島大学、京都府立医科大学、ポルメド社などが24日、共同で実施した。カニクイザルの腎臓を2つとも取り除き、ポルメド社が育成した月齢約3カ月のブタの腎臓1個を移植した。移植した腎臓が機能しているとみられ、移植後、サルの排泄器官から尿が出るのを確認した。
これは国内初の臨床応用に向けた実験で、腎臓病に苦しむ患者への移植技術の確立を目指す。患者への移植は数年後に実現する可能性があるという。今後数カ月間で最大8頭のサルに同様の移植を実施し、患者への移植の具体的な手法や薬の投与方法、適切な体調管理の方法の確立を目指す。