「新技術・新開発」カテゴリーアーカイブ

水素で動く自販機 コカ・コーラ, 富士電機が共同開発 世界初

コカ・コーラボトラーズジャパンは3月18日、富士電機と共同開発した水素発電で動く自動販売機を大阪・関西万博の会場(所在地:大阪市此花区)内に設置した。稼働時に二酸化炭素(CO2)を排出しないのが特徴で、水素で動く自販機は世界初という。同日、大屋根リングの下に設置された。
水素で動く自販機は、本体の横に水素カートリッジを18本入れた発電機を備え、水素と酸素を化学反応させ発電する。会期中、富士電機が定期的に水素カートリッジを交換し、水素を充填するという。

阪大G 胃カメラ検診で”すい臓がん”早期発見 新たな診断法 

大阪大学などの件グループは、胃カメラの先に装着できる特殊なカテーテルを使い、胃がんの検診をしながら早期発見が難しいとされるすい臓がんも高い精度で診断する方法を開発したと発表した。すい臓から分泌されたすい液を胃の先にある十二指腸で回収し、遺伝子の変異した量を調べるもの。
グループが9の医療機関で健康と診断された46人と、初期のすい臓がんと診断された患者41人を対象に、この方法の精度を調べたところ、健康な人はいずれも陰性で、患者は80%余にあたる33人が陽性となり、高い精度で初期のすい臓がん患者を見極めることができたとしている。

島津製作所 誤差100億年で1秒「光格子時計」受注販売開始

島津製作所(本社:京都市中京区)は3月5日、誤差が100億年に1秒程度で、世界で最も正確な時計とされる「光格子時計」の受注販売を開始すると発表した。重さはおよそ200kg。価格は5億円からとなっている。販売目標は3年間で10台を見込んでいるが、すでに複数の問い合わせがあるという。
光格子時計は、東京大学の香取秀俊教授のグループが開発した時計で、ノーベル賞の受賞も有力視される技術として注目されており、高精度で時間を計測する必要がある次世代通信や、最先端の物理研究に使われることが想定されている。

慶応大G 鎌倉の土壌から難分解性PPの分解菌を発見

慶応大学理工学部、同大先端科学技術研究センターなどの研究グループは2月28日、鎌倉市の土壌から添加剤を含まないポリプロピレン(以下、PP)を分解する微生物の取得に成功したと発表した。さらにこの微生物がPPと全く異なるポリエチレン(PE)、ポリウレタン(PU)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのプラスチックも分解する能力を持つことを突き止めた。これは画期的な発見で、近年、廃プラスチックが地球規模の環境汚染問題となる中、課題解決の足掛かりになると期待される。

慶応大病院の「子宮移植」臨床研究計画を承認 審査委

慶応大学病院のグループは2月27日、生まれつき子宮がない女性や病気で摘出した女性など3人を対象に、親族から提供された子宮を移植する臨床研究の計画が審査委員会で承認されたとホームページで発表した。グループの計画では、手術は慶応大病院で行うことになっており、今後実際に手術を行うかどうか病院で検討するとしている。
子宮移植について、日本医学会は子宮を提供する女性や移植を受ける女性などへのリスクが明らかではなく、倫理的課題が残されているとして、少数の臨床研究に限って認めるとする報告書を4年前にまとめているが、子宮移植がこれまで国内で実施されたケースはない。

大阪ガス 万博 日本館から出るCO2で「eメタン」製造

大阪ガス(本社:大阪市中央区)は2月25日、大阪・関西万博で日本館から出る二酸化炭素(CO2)を使って、次世代の都市ガス燃料「eメタン」を製造すると発表した。製造したeメタンは万博会場内の迎賓館の厨房などに供給する。
日本館のバイオガスプラントから出るCO2と水素を合成して製造する。eメタンは、原料となるCO2と燃焼時に排出するCO2が相殺され、排出量は実質ゼロとなる。

ロボット工学 石黒教授の万博パビリオン 最新ロボ初公開

大阪・関西万博でプロデューサーを務めるロボット工学の第一人者、大阪大学の石黒浩教授のパビリオン内覧会が2月19日行われ、最新型のロボットが初めて報道陣に公開された。今回公開されたのは、同パビリオンを訪れた人たちの案内役などを務める3種類のロボット。ロボットは木や石などが使われているのが特徴で、未来の社会ではより自然を感じながら、豊かな生活を送っていくというメッセージが込められている。
このほか、展示が予定されている、見た目や動きが人間により近い、5体のアンドロイドも公開され、遠隔操作で視線を左右に動かしたり「、お辞儀をしたりする動作も行っていた。
石黒教授のパビリオンではこうしたアンドロイドおよそ20体を展示。アンドロイドと共生する社会体験をしてもらうことで、科学技術によって広がる命の未来について考えてもらいたいとしている。

ホンダ 燃料電池の出力2倍 次世代燃料電池モジュール公開

ホンダ(本社:東京都港区)は2月19日、次世代の燃料電池を組み込んだモジュールを公開した。定格出力を現行モデル(78KW)の2倍となる150KWを目指す。これにより燃料電池車(FCV)の加速性が向上する。また製造コストを5割減らし、耐久性は2倍を目指す。2027年度から量産する。
同社は2040年に世界で販売するすべての新車を排出ガスがない電気自動車(EV)やFCVなどの”ゼロエミッション車”にする方針を表明している。次世代モジュールを自動車だけでなく、商用車や建設機械などへの採用を目指す。

大林組 ホイールローダ用後付け自動運転装置開発 機種選ばず

大林組(本社:東京都港区)は2月18日、ホイールローダ用の後付け自動運転装置を開発し、グループ会社で実証実験を行い作業の自動運転を実現したと発表した。大林神栖バイオマス発電(本社:茨城県神栖市)が運営する大林神栖バイオマス発電所(所在地:茨城県神栖市、発電容量:51.5MW)で実証実験を行い、燃料運搬作業の自動運転を実現した。
今回開発したホイールローダ用自動運転装置は、自動運転システム、3D-LiDARや傾斜計などの各種センサー、自動運転制御盤、レバー制御装置で構成される。すくい込み、運搬、積み込み、投入など自動運転に必要な作業設定は、遠隔で安全な場所から行える。同装置はホイールローダのメーカーや機種を選ばず後付けが可能で、動作設定も作業員の熟練度に関係なく簡単に設定が可能という。

トヨタ 商用分野のニーズに応える第3世代 燃料電池システム

トヨタ自動車は2月14日、水素社会の実現に向け、商用分野のニーズに応える第3世代のFCシステムとなる新型燃料電池システムを開発したと発表した。今回開発したシステムは、ディーゼルエンジンに並ぶ耐久性能を実現したほか、燃費性能や航続距離をそれぞれおよそ20%向上させている。このため、乗用車ほか汎用向け(定置式発電機、鉄道、船舶等)に加え、大型商用車にも搭載できる。
同社は2014年に燃料電池自動車(FCEV)「MIRAI(ミライ)」を発売し、30カ国以上の地域に約2万8,000台を販売。2019年からFCシステムの供給を開始。バスや鉄道、定置式発電機などでグローバルに100社以上の顧客に2,700基を超えるシステムを供給してきている。