「新素材」カテゴリーアーカイブ

世界初10以上の機能を備えた快適素材「COVEROSS」を展開 hap

 アパレルベンチャーが、世界で初めて10以上の機能を備えた、多機能快適素材「COVEROSS(R)(カバロス)」、ブランド名「COVEROSS WIZZARD(カバロスウイザード)」を開発した。最新テクノロジーを駆使し、デザイン性と快適性を両立させたサスティナブル素材だ。これを手掛けるのが、2006年に立ち上げられたアパレル企業hap株式会社(所在地:東京都中央区)で、同事業を担っているのがCOVEROSS事業部だ。
 3000回以上の試作をを経て2016年にCOVEROSSは誕生した。そして2017年、天然コットンに光触媒を軸に10の機能を付与した、世界でも類をみない多機能素材を完成させた。カバロスでつくったTシャツは米国綿(コットン)をベースにしながらも透け防止やセルフクリーニング、抗花粉・抗菌など天然繊維では矛盾するようなハイテク機能を備えている。A型インフルエンザ等のウイルスの不活化も可能という。3万回以上のトライ&エラーを繰り返して誕生した。

大化けの可能性秘める組み合わせ自在な多機能カバロス素材
 カバロスとは、「相反する」を意味し、ウイザードは「魔法」を意味する。現在、吸水速乾、撥水、消臭、抗菌、抗カビ、UVカット、遮熱、接触冷感、温感、毛玉防止、セルフクリーニング、抗花粉などの機能を同時に付けることが可能で、組み合わせも自由だ。愛媛県今治市の加工メーカー、ユケンケミカルとの緊密な連携により、様々な薬剤の組み合わせ、構成比率により求められる機能性を実現する。
 数多くの引き合いの中からカバロスは現在、ナノ・ユニバースなど40社以上が採用している。通常、生地素材から取り上げられるが、既製服に後から加工することも可能という。これにより、カバロスは”大化け”の可能性を秘めている。
 開発体制で通常と少し異なるのは物性面からの研究にある。日本で唯一、繊維学部がある信州大学との協働だ。最終製品用途に照らし合わせ、最先端の繊維素材を研究しているのだ。
 カバロスの新素材として今年着手したのが、熱中症対策衣料だ。糸の中心は空洞で水を通すことができることから、例えばジャケット裏にこの糸を縫い付けると、格好の熱中対策衣料になる。多くの水分を吸い込むよう給水拡散する物質を3割増やし、抗菌・消臭機能なども付加した。今年は100着を限定販売したという。
 

コロナ禍に逆風スーツがなぜ売れる 作業着スーツを展開

オアシススタイルウェア 潜在需要の掘り起こしに成功!
産業界から個人の生活まであらゆる領域まで、そのありようをすっかり変えてしまったコロナ禍。勤務スタイルも大半が在宅に切り替わろうかという中、環境としては全く”逆風”のはずのスーツの売り上げを急激に伸ばしている企業があります。2015年、水道工事を手掛けるオアシスソリューション(本社:東京都豊島区)の新たなプロジェクトとして立ち上げられ、アパレル業界に新規参入して生み出した事業。2017年12月に新会社が設立された、「WWS(Work Wear Suit)」(ワークウェアスーツ)のブランドで、作業着スーツの展開を推進するオアシススタイルウェア(本社:東京都港区)です。
作業着スーツと表現しましたが、法人需要でいえば様々な職業のユニフォームとのボーダーレスウェアと呼ぶ方が的を射ているといえるでしょう。ただし、企画コンセプトは毎日洗うことができるスーツで、既存の市場にはなかった商品です。「あればいいのに…」そんな潜在需要の掘り起こしに成功したといえるのではないでしょうか。オフィスでのビジネスシーンでではなく、職場で着用し毎日気軽に洗うことができる作業着スーツは、コロナ禍だからこそ、これまで以上に重宝され支持されたわけです。
そもそもこのプロジェクト立ち上げの目的は、本業の水道業界の技術職を採用しようとすると、50歳以上の応募が多く、若い世代からの応募は極めて少なかったのです。そこで、オアシスソリューション創業10周年記念プロジェクトの全社員を対象にしたアイデア募集に、社歴7年の中村有沙さん(現在のオアシススタイルウェア代表取締役)が応募。中村さんは「スーツみたいなスタイリッシュな作業着をつくることはできないか」と提案した。これを受け、スーツと作業着の境目をなくせば職業観を変えられるかもしれない、との思いから当時のオアシスソリューション・関谷有三社長が決断、同プロジェクトがスタートしました。
とはいえ、着心地がよく、ストレッチ性があって撥水性があり、さらには毎日洗える。これら作業着スーツの求められる要件を満たす生地はなかったため、新しい生地をメーカーと共同で制作に取り組んだといいます。プロジェクト立ち上げから丸2年、「見た目+機能性」、スーツに見える作業着が完成しました。まずは試験的に社員に着用してもらうと、これをみて親会社オアシスソリューションの水道工事のクライアント、三菱地所から物件管理者用のユニフォームにしたいとの依頼が舞い込みます。これにより事業化が決定。オアシススタイルウェアという新会社が設立され、起案者の中村有沙さんが代表取締役に抜擢されました。
代表取締役の中村有沙さんによると、2020年度の売上高は前年度比400%アップで9億3,000万円を達成したといいます。6月下旬時点でWWSを導入している法人企業は1,000社を突破しています。物流ドライバー、内装業者、冠婚葬祭、スイーツ製造事業者など様々な職業・職種のユニフォームに採用されています。
ちなみに、スーツ全体も販売量は減り続けています。ピークは1992年の1,350万着、そして2018年には510万着へ、コロナ禍により2020年には350万着まで減少したとみられています。

高島屋 使用済み衣料を原料から本格リサイクル

環境負荷低減へ 百貨店業界で先駆的取り組み

高島屋(本社:大阪市中央区)はこのほど、再生ポリエステルを原料に使った衣料品の販売を全国の12店で始めました。紳士服、婦人服、子供服など約60種類の販売です。
同社は「デパート デ ループ」と名付けたこの仕組みで、使用済みの衣料品を回収し、日本環境設計(所在地:神奈川県川崎市)の北九州若松区にある工場に持ち込み、ポリエステルを化学的に分解して脱色。真っ白な糸に生まれ変わらせ、織布・編み立て、染色・加工、縫製して再び新しい衣服にし、販売します。
手間とコストがかかりますが、地球環境への負荷を減らすのが狙いです。これだけ大規模な循環型商品の仕組み構築は、定着まで試行錯誤あるのでしょうが、百貨店業界では先駆的な取り組みとなります。
再生ポリエステルのリサイクル型のプロジェクト展開としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)ボトルで、ワーキングや資材向け商品を、帝人など繊維メ-カーが商社などと組み、物流・回収事業者と協働、化学的に様々な知見を持つ繊維メーカーならではの視点で推進した実績はあります。ただ、手間とコストが掛かり過ぎ、短期的かつ採算性という側面だけでみたら、とても手が出せません。限りある資源の活用、再生を意識した活動の一環です。
また、企業としてこのプロジェクトに着手させるには、一般消費者がいま何に困っているのか、何を欲しているのかといった消費者目線がなければ”GO”サインは出せないところです。そして、ひいてはそれが好企業イメージの醸成につながると認識しているからでしょう。

コメ由来のバイオマス「ライスレジン」

バイオマスレジンHD 使い捨てプラスチックに一石
今や地球上のグローバルで深刻な問題となっている「使い捨てプラスチックごみ」対策に、様々な企業が取り組んでいますが、コメからつくったプラスチック製品が登場しました。石油系樹脂の代替として、お米由来のバイオマスプラスチック「ライスレジン」を開発したのが、バイオマスレジンホールディングス(本社所在地:東京都千代田区)です。ライスレジンは精米時に発生する砕米や米菓、醸造などの製造過程で排出される米粉など食用には適さないコメを原料としたバイオマスプラスチックで、日本国内はじめコメ文化のアジアでの事業の親和性が高く、東南アジアで最初の事業展開となるとしています。
バイオマスレジンは、汎用プラスチックとコスト、成形性、強度等がほぼ同等でありながら、燃焼時にダイオキシン等の有害ガスが発生しない熱可塑性バイオマスプラスチックです。資源米、木粉、竹、竹炭などの国産植物原料に安全性の高いプラスチックの「ポリオレフィン」を加えて特殊技術で複合します。ポリ乳酸プラスチック等と違い、生産時に発酵過程を必要とせず、既存の植物系プラスチックが解決できていない耐久性・耐熱性・加工性を石油系プラスチックとほぼ同等で実現しています。
ライスレジンは、三井物産プラスチック(本店:東京都千代田区、三井物産100%出資)およびコバオリ(本社所在地:京都市北区)の3社がプロジェクトを組み展開します。国内外の販売では三井物産プラスチックと業務提携。また、ベトナムでの製造ではコバオリと資本業務提携しています。
ライスレジンの製品は積み木はじめ、レジ袋、ゴミ袋、箸、クリアファイル、そしてコーヒーレジン、ウッドレジン、そばレジン、バンブーレジンなどにバリエーションを広げてています。
現在国内で消費されている年間1,400万トンの石油系プラスチックをすべて「バイオマスレジン」に転換すると、4,400万トンの二酸化炭素(CO2)削減につながり、SDGsの取り組みに向けて活用の広がりが期待されます。

TBM 韓国SKCと生分解性LIMEXの事業化で合弁 22年上市へ

TBM(東京本社:東京都千代田区)は9月16日、韓国大手財閥のSKグループの化学素材大手SKC(本社:韓国・ソウル)と、生分解性LIMEXの開発、事業化を推進するJV「SK TBMGEOSTONE Co.,Ltd(エスケー・ティービーエムジオストーン)」を設立したと発表した。
2021年7月、TBMはSKグループ4社が共同出資したSK Japan Investment Inc(本社:東京都)と135億円の資本提携に合意。今回の合弁会社設立経過役を締結している。TBMはSKグループとのサプライチェーンの連携を通じてLIMEXの生産体制を強化し、SKグループの販路を活用しSKグループおよびその顧客ニーズにマッチしたLIMEX Pellet(ライメックスペレット)およびLIMEX Sheet(ライメックスシート)の用途開発を推進する。
TBMとSKCは、炭酸カルシウムを樹脂に高充填するTBMの材料設計技術と、SKグループの製造する生分解性プラスチック(PBAT)を組み合わせた生分解性LIMEXを開発・製造・販売するJV設立により、2022年中の上市を目指す。

4社が廃プラスチックのガス化ケミカルリサイクルで協業の検討開始

日揮(本社:横浜市西区)、荏原環境プラント(本社:東京都大田区)、宇部興産(本社:山口県宇部市)、昭和電工(本社:東京都港区)は8月28日、秘密保持契約を締結のうえ、EUP(Ebara Ube Process)を活用した廃プラスチックのガス化処理設備の設計・調達・建設(EPC)に関わる協業の検討を開始したと発表した。                                                 海洋プラスチック問題に代表される通り、廃プラスチックのリサイクルの推進は世界的な課題となっている。日本におけるプラスチックのリサイクル率は86%だが、そのうち資源循環されているプラスチックの割合は13.5%にとどまり、日本のみならず各国内での資源循環システム確立が急務となっている。