「新技術・新開発」カテゴリーアーカイブ

ロボット工学 石黒教授の万博パビリオン 最新ロボ初公開

大阪・関西万博でプロデューサーを務めるロボット工学の第一人者、大阪大学の石黒浩教授のパビリオン内覧会が2月19日行われ、最新型のロボットが初めて報道陣に公開された。今回公開されたのは、同パビリオンを訪れた人たちの案内役などを務める3種類のロボット。ロボットは木や石などが使われているのが特徴で、未来の社会ではより自然を感じながら、豊かな生活を送っていくというメッセージが込められている。
このほか、展示が予定されている、見た目や動きが人間により近い、5体のアンドロイドも公開され、遠隔操作で視線を左右に動かしたり「、お辞儀をしたりする動作も行っていた。
石黒教授のパビリオンではこうしたアンドロイドおよそ20体を展示。アンドロイドと共生する社会体験をしてもらうことで、科学技術によって広がる命の未来について考えてもらいたいとしている。

ホンダ 燃料電池の出力2倍 次世代燃料電池モジュール公開

ホンダ(本社:東京都港区)は2月19日、次世代の燃料電池を組み込んだモジュールを公開した。定格出力を現行モデル(78KW)の2倍となる150KWを目指す。これにより燃料電池車(FCV)の加速性が向上する。また製造コストを5割減らし、耐久性は2倍を目指す。2027年度から量産する。
同社は2040年に世界で販売するすべての新車を排出ガスがない電気自動車(EV)やFCVなどの”ゼロエミッション車”にする方針を表明している。次世代モジュールを自動車だけでなく、商用車や建設機械などへの採用を目指す。

大林組 ホイールローダ用後付け自動運転装置開発 機種選ばず

大林組(本社:東京都港区)は2月18日、ホイールローダ用の後付け自動運転装置を開発し、グループ会社で実証実験を行い作業の自動運転を実現したと発表した。大林神栖バイオマス発電(本社:茨城県神栖市)が運営する大林神栖バイオマス発電所(所在地:茨城県神栖市、発電容量:51.5MW)で実証実験を行い、燃料運搬作業の自動運転を実現した。
今回開発したホイールローダ用自動運転装置は、自動運転システム、3D-LiDARや傾斜計などの各種センサー、自動運転制御盤、レバー制御装置で構成される。すくい込み、運搬、積み込み、投入など自動運転に必要な作業設定は、遠隔で安全な場所から行える。同装置はホイールローダのメーカーや機種を選ばず後付けが可能で、動作設定も作業員の熟練度に関係なく簡単に設定が可能という。

トヨタ 商用分野のニーズに応える第3世代 燃料電池システム

トヨタ自動車は2月14日、水素社会の実現に向け、商用分野のニーズに応える第3世代のFCシステムとなる新型燃料電池システムを開発したと発表した。今回開発したシステムは、ディーゼルエンジンに並ぶ耐久性能を実現したほか、燃費性能や航続距離をそれぞれおよそ20%向上させている。このため、乗用車ほか汎用向け(定置式発電機、鉄道、船舶等)に加え、大型商用車にも搭載できる。
同社は2014年に燃料電池自動車(FCEV)「MIRAI(ミライ)」を発売し、30カ国以上の地域に約2万8,000台を販売。2019年からFCシステムの供給を開始。バスや鉄道、定置式発電機などでグローバルに100社以上の顧客に2,700基を超えるシステムを供給してきている。

カナデビア 山梨で80億円投じ水素の水電解スタック工場 

カナデビア(本社:大阪市住之江区、旧日立造船)は2月7日、約80億円を投じ山梨県、都留市と立地協定を交わし、都留市に固体高分子型水素発生装置の中核機器となる水電解スタックの量産工場を建設することで合意、山梨県庁で調印式を実施したと発表した。同式にはカナデビアの桑原道社長、山梨面の長崎幸太郎知事、都留市の堀内富久市長が出席した。
新工場は都留市厚原地内の新工業団地に建設予定。敷地面積は約3万6,000㎡。着工は2026年6月ごろ、2028年度末までに完成、操業開始を計画。水電解スタックの生産能力は年産1GW(電解効率5kwh/N㎥として製造水素換算15万7,000トン/年)になる。

iPS細胞で目の網膜治療「先進医療」に申請 神戸アイセンター

神戸市の神戸アイセンター病院のグループは、「網膜色素上皮不全症」という重い目の病気の患者3人にiPS細胞から作製した網膜細胞をヒモ状に加工して移植する臨床研究を実施。この網膜が1年後も定着し、このうち1人は見え方も改善していることが確認できたとして、この治療の計画を「先進医療」として厚生労働省に申請し、1月末に受理されたことを明らかにした。認められればiPS細胞を使う治療としては初めてのカーストなる。

”水素”燃料の旅客船公開 市中心部と万博会場間で運航

岩谷産業は1月29日、大阪・関西万博の期間中、大阪中心部と万博会場の間で運航される、脱炭素に向け新たに開発した水素燃料の旅客船「まほろば」を報道陣に公開した。まほろばは全長33m、定員は最大150人。130キロの水素を装填することが可能。船の速さは10ノット、時速およそ20キロで運航する予定。
万博期間中、週に3日、大阪・中之島ーUSJの海の玄関口となる「ユニバーサルシティポート」ー万博会場・夢洲のルートで運航される。

千葉・佐倉市で「バイオ炭」製造の実証実験開始 農研機構

国の研究機関、農研機構(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構)が千葉県佐倉市の協力を得て1月28日、「バイオ炭」を製造する実証実験を開始した。バイオ炭は、竹や木の枝などを600度程度の高温で長時間熱してつくった炭を加工したもの。
農地に播くことで土壌の水はけが良くなるとされている。また、植物を炭にすることで成長の過程で吸収した二酸化炭素(CO2)を大気中に放出せず固定することになり、気候変動対策としての効果があるとされている。
実証実験では佐倉市が提供する間伐された竹や梨農園で剪(せん)定された枝などを使ってバイオ炭を製造するほか、地域の農家に利用してもらい、農産物の収穫量の変化なども確かめるという。

最新ロボ「ダビンチSP」で1カ所の傷口で胃がん手術成功

大阪けいさつ病院消化器外科のチームはこのほど、1月8日、胃がんの治療で最新の手術支援ロボット「ダビンチSP」を使って、患者の体に開ける傷口を1カ所だけで手術することに成功したことを明らかにした。これにより、患者の負担を減らすことが可能となった。
チームによると、手術支援ロボトを使った胃がん手術では、これまで患部の切除などに使う手術器具と、縫い合わせるための器具を体内に入れるため、患者の体に2カ所以上の傷口を開ける必要があった。しかし今回、ロボットの動きを調整するなどした結果、直径3cmほどの1カ所の傷口だけで手術に成功した。患者の術後の経過は順調で、1週間後に退院したという。