東京大学の山口和也教授らは、安価なニッケルを使い、ベンゼン環を持つ有機分子と水素を同時につくる触媒を開発した。これまでは高価なパラジウムが必要だった。この成果は、英科学誌『ネイチャー・コミュニケーションズ』に掲載された。
研究チームは、酸化セリウムとニッケルの微粒子からなる固体の触媒を開発した。開発した触媒を使った反応で、原料として使える物質は45種類以上見つかった。
ベンゼン環を持つ有機分子は医薬品などの原料として、水素は燃料として使えると期待される。
「新技術・新開発」カテゴリーアーカイブ
関電 4月から水素混焼発電 実証実験 万博に電力供給
世界初 和歌山 JR初島駅で3Dプリンター使い新しい駅舎
JFEなど3社 製鉄由来のCO2から樹脂原料 26年度に実証実験
コスモエネHD, UCDI CO2由来次世代エタノールで共同検討
コスモエネルギーホールディングス(HD)とCO2資源化研究所(以下、UCDI)は3月21日、「UCDI(R)水素菌」を用いて、CO2をエタノールに変換するCarbon dioxide Capture and Utilizetion(以下、CCU)の実現に向けた共同検討に関する契約を締結したと発表した。
食料や植物を原料として生産される食料作物由来のエタノールには、食料との競合や生産効率の限界、土地利用などに課題がある。これらの点を踏まえると、期待されるのが今回の両者の取り組みだ。
UCDI高い増殖技術を有する独自の水素菌「UCDI(R)水素菌」を開発し、CO2と水素を原料にエタノールを生産することができる技術・特許を保有している。この技術により、食料を原料としないエタノールの大量生産が可能となり、CO2排出量の削減とバイオ燃料製造の両立が期待される。
脊髄損傷 iPS細胞で機能改善 世界初の臨床研究 慶応大
慶応大などの研究チームは3月21日、脊髄損傷で体が麻痺した患者4人にiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した細胞を移植した世界初の臨床研究で、2人の運動機能が改善したと発表した。
発表によると、患者は受傷後2〜4週間の18歳以上の4人で、受傷した首や胸から下の運動機能や感覚が完全に麻痺した。チームは健康な人のiPS細胞から神経のもとになる細胞をつくり、2021〜2023年、患者1人あたり約200万個の細胞を傷ついた脊髄に移植。患者は機能回復を促すリハビリなどを続けた。
移植の約1年後に有効性を検証した結果、運動機能の5段階のスコアが1人は3段階、1人は2段階改善した。残る2人もスコアは同じだったが、改善はみられたという。
チームは麻痺が固定した慢性期患者を対象にした治験を2027年に行う方針を明らかにした。脊髄損傷は交通事故などが原因で、国内の新規患者は年間約6,000人。慢性期の患者は10万人以上とされる。